具体的な逃げ方(番外編)ー結婚する際の戸籍と住民票閲覧制限の手続ー

【重要】
2023年5月時点、こちらの手続き方法は最新です。(同年同月に住民票の閲覧制限の更新手続きをした際、手続きのやり方について自治体窓口に確認済)

【参考】
・★基本★ 住民票閲覧制限の手続きについて
住民票閲覧制限の更新手続きについて
事実婚での住民票閲覧制限の手続きについて
子どもへの住民票閲覧制限の手続について

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2024年1月には、LINEのお友だちが550人を超えるなど、多くの方が相談先として選んでいます。
私事で恐縮ですが、2022年12月に、法律婚しました。

毒親育ちの方から、「毒親に結婚相手と暮らす家に押し入られないようにするには、どうすれば良いのか」といったご相談をいただくことがあります。

今回は、私自身の経験を踏まえながら、結婚の際の住民票と戸籍の手続きについてお話しします。


【目次】
1.戸籍について
2.戸籍謄本などを取れる人
3.手続きの流れ(概要)
4.あなたがお相手の苗字を名乗る場合の手続き
5.お相手があなたの苗字を名乗る場合の手続き
6.婚姻届の提出と合わせて行う手続き
7.よくあるお尋ね
① 結婚のときの閲覧制限のポイント
② 自分は分籍しておいた方が良いか
③ 婚姻届を出す場所について
8.私(ブログ管理人)自身はどうしたのか


1.戸籍について
日本において、戸籍は「夫婦(離婚している場合は片親)と未婚の子」でユニットを形成します。
そして、結婚をすると、以下のページに掲載をされているような戸籍が出来上がります。

(参考)戸籍ってどんなことが載っているの?(名古屋市名東区のページです)
http://www.city.nagoya.jp/meito/page/0000064593.html

夫婦の戸籍には、①夫婦の本籍がある場所と、②結婚前に戸籍があった場所、が記載されます。

本籍地は、住んでいる場所である必要はなく、皇居、舞浜のネズミの国(笑)など、好きな場所に置くことができますが、
多くの方は、ご実家や先祖にご縁がある土地が本籍地であることが多いです。


2.戸籍謄本などを取れる人
日本では、たとえ住民票に閲覧制限をかけていても、
直系尊属や直系卑属の戸籍(戸籍謄本、戸籍抄本)を取り寄せることが可能です。
(例えば、私は毒親や毒祖父母の戸籍を取り寄せることができますし、逆に、毒親や毒祖父母も、私の戸籍を取り寄せることができます)

したがって、「1.」で記載した、
「①夫婦の本籍がある場所と、②結婚前に戸籍があった場所」は
毒親が戸籍を取り寄せれば、バレてしまうことになります。

多くの場合、本籍地は実家ですので、
お相手の方がご両親との戸籍から「直接」結婚をしてしまうと、
従前戸籍として、お相手のご実家がバレ、毒親に突撃される、
という事態もあり得ます。

このような事態を防ぐために、後述の手続きをお伝えします。


3.手続きの流れ(概要)
手続きの概要は以下です。
・お住まいの自治体及び転居先(パートナーとの新居予定地)の自治体に、
 「結婚する予定だが、毒親から逃げるために、
  新しい戸籍と住民票に、閲覧制限をかけたい」と相談する。(⭐︎)
・転居先を所轄する警察署に、閲覧制限をかけるための
 支援措置について相談する。(⭐︎)
・事前に、必要な戸籍の手続きをする(後述の「4」又は「5」を参照)
・警察署に行って、支援措置のために必要な面接を受ける。(⭐︎)
・開庁している時間帯に、窓口で、婚姻届を提出し、
 流れで一気に住民票の閲覧制限の手続き(⭐︎、ただし婚姻時の注意点は「7①」を参照)と、
 婚姻届を開示されないための手続き(「6」を参照)をする。

なお、この手続きのキモになる、
「住民票の閲覧制限(支援措置)」(⭐︎の箇所)は、以下のページをご確認ください。
  支援措置について

4.あなたがお相手の苗字を名乗る場合の手続き
婚約者さんが、分籍&転籍をしてくだされば、入籍できます。
戸籍の手続は10営業日ほどかかるので(※自治体やその業務の閑散によります)、
余裕を持って、入籍日の4週間前に婚約者さんに分籍してもらい、
入籍日の2週間前に婚約者さんに転籍してもらいましょう。
(記念日や、一粒万倍などの縁起がよい日にこだわる方は、スケジューリングに注意です)
そして、分籍・転籍手続きを経て、戸籍の筆頭者になっている
婚約者の単独の戸籍に、自分が「入籍」する形になります。
入籍のタイミングの前に、住民票の閲覧制限について役所に相談し、
入籍のときに住民票閲覧制限をかける手続きができるとスムーズです。

《例》
私が、婚約者と結婚するとします。
婚約者の本籍は、婚約者の父方の祖父母の家にあるとします。
このような場合、もし、婚約者が転籍等をせずに、結婚をしてしまうと、
私の戸籍(結婚後の夫婦の戸籍)を取り寄せた毒母が、
戸籍に記載された夫の従前戸籍(=夫の祖父母の家)に怒鳴り込む…
という事態が起こり得ます。

ですので、このような場合には、婚約者に、 知られてもよい場所に本籍地(B市)を置いてもらってから、
新しい本籍地(C市)に戸籍を置いてもらい、その戸籍に「入籍」する必要があります。
イメージとしては、
 婚約者の今の本籍地(婚約者の祖父母の家、A市)
  ↓
 婚約者がB市に分籍(好きな場所、景勝地など、適当な場所)
  ↓
 婚約者がC市に転籍(ここも適当な場所)
  ↓
 C市にある婚約者の戸籍に「入籍」する形で婚姻届を提出
となります。

そうすると戸籍謄本には、今の本籍地はC市、従前戸籍はB市と表示され、
A市は表示されない形となります。


5.お相手があなたの苗字を名乗る場合の手続き
婚約者がご両親との戸籍から離れれば、入籍できます。
その後に、入籍をすることになります。
・入籍日の3週間前…婚約者:分籍・転籍手続
・入籍日…お住まいと関係ない場所を本籍として婚姻届を提出

《例》
私が、婚約者と結婚するとします。
婚約者の本籍は、婚約者の父方の祖父母の家にあるとします。

この場合には、イメージとしては、
 婚約者の今の本籍地(婚約者の祖父母の家、A市)
  ↓
 婚約者がB市に分籍(好きな場所、景勝地など、適当な場所。ただし後述の裏技が可)
  ↓
 婚姻届を提出(自分が分籍・転籍したことがあるか否かで対応が異なる)
…となります。


6.婚姻届の提出と合わせて行う手続き
「婚姻届の記載事項の一部の記載が見えないようにする手続き」
を行う必要があります。

2022年12月時点の戸籍法の第48条第2項には、
「利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその書類に記載した事項について証明書を請求することができる。」
とあります。

つまり、毒親はこの条文を根拠に、婚姻届を受理した基礎自治体(市区町村)に
婚姻届に記載した情報を開示させることができてしまうのです。
婚姻届には、ご夫婦の本籍や、お二人のお住まいが記載してあったり、
証人欄に記載してくださった方の住所なども記載してあったりします。

このような情報を隠すために、この手続きを行う必要があります。
ご参考までに、私が記入した申入書を掲載します。



7.よくあるお尋ね
① 結婚のときの閲覧制限のポイント
毒親育ちである、あなた本人だけでなく、
配偶者も、支援措置の対象とすることが、
最大のポイントです。

また、私が結婚したときの支援措置の申請の備考欄には、
・夫の従前戸籍(住所が記されている附票)
・夫の独身時代の住所(結婚直前及びその前の下宿先)
も記載し、これらも閲覧制限の対象にしました。
夫の住所から、いまの夫婦の住所を辿られないようにするためです。

そのほか、瑣末ですが、
・あなたの名前…婚姻後の氏名
・あなたの原本籍…夫婦の本籍
・あなたの従前戸籍…あなたの独身時代の本籍
など、結婚で変わったことを踏まえつつ記入してください。


② 自分は分籍しておいた方が良いか
戸籍には、「夫婦と未婚の子」が記されます。
したがって、掲載されているメンバーが戸籍から離脱すると、
「戸籍に記載されている者」の欄に「除籍」と記載され、
その方の「身分事項」の欄に「婚姻」が記されます。
(身分事項には、除籍理由が記されるので、婚姻の他には、
 「死亡」「離婚」「分籍」が記されます。)

このため、結婚後に、毒親が毒親自身の戸籍を取り寄せたときに、
「は? 子どもは結婚したの?」と、結婚を知られてしまったり、
毒親がその結婚に納得していない場合には「私の戸籍を、汚い結婚で汚しやがって」
と、いらぬ刺激を与える可能性があります。

したがって、現在、親御さんの戸籍に掲載されている場合には、
一度、分籍してから入籍すると、毒親にいらぬ刺激を与える可能性は減ります。
(身分事項に記載される除籍理由は、「分籍」になるため。)

ただし、「どうせ、結婚後の本籍地もダミーの場所だし、
親がキレてもどうでもいいや」という方は、
あまり分籍にこだわらなくてもよいのではないかと思います。
(親が、「なんで分籍したの?」と分籍後の戸籍をたどると、
 結婚した事実は、いずれバレます)

なお、私の場合は、「ちょっとでも結婚がバレるのを遅らせたい」
と考え、分籍しています。

また、住民票に閲覧制限をかけていても、分籍していないと、
毒親が自分の戸籍の附票が欲しいと役所に言って、
ついでに掲載されている子どもの住所を知り得てしまう可能性があるので、
そういったことの防止のためにも、自分も分籍してから、
結婚をした方が安心です。

あと、自治体のうっかりミスや自身の手続きミスで、
結婚前の自分の実家の戸籍に結婚後の住所が載ってしまうこともあるので、
万全を期すことを望まれるのであれば、自分も分籍したほうが良いです。


③ 婚姻届を出す場所について
婚姻届は、夫または妻の住民票がある場所、あるいは
夫または妻の本籍がある場所の自治体で提出することができます。

例えば、夫婦が東京都立川市に住んでおり、 結婚後の本籍地は北海道札幌市にするとしましょう。

すると、わざわざ北海道に行って提出するのも、ということで、
立川市で婚姻届を提出すると思いますが、
逆に、毒親の立場からすると「北海道が本籍なのに、立川市で提出したということは、
立川市に住んでいるのだろうか?」と推理できてしまう、ということです。

こだわるのであれば、お住まいではない自治体で婚姻届を提出したら良いと考えますが、
都心部であれば人口も多いので、
最寄りの窓口でないところで提出すれば良いのではないか、と思います。


8.私(ブログ管理人)自身はどうしたのか
実は、別の記事でお伝えをしていた通り、
法律婚をした夫とは、2022年6月時点で事実婚をしており、
住民票上の住所は一緒で、また、閲覧制限をすでにかけておりました。
(事実婚については  こちらの記事  参照)
また、しばらくは事実婚時代と同じ住所に住民票を置く予定です。(引越しは後日)
そして今回の法律婚は、私が、夫に嫁入りする形です。

そのことを、住んでいる自治体と、所轄の警察署に相談したところ、
「あなた(ブログ管理人)の苗字が変わるだけなので、
 警察署での面接は不要で、婚姻届を提出するときに、
 支援措置の書類を結婚後の苗字で再記入すればよい」
となりました。

つまり、概要でお示しした「⭐︎」の手続きはしませんでした。(支援措置の変更の手続きのみです)
※このような措置は、自治体と警察署次第なので、
 私と同じケースだからといってそのまま同じことをするのではなく、
 きちんと自治体と警察署に相談してください。

次に、本籍地をどうするか、という問題です。
夫の独身時代の本籍地は、ご両親と一緒に、祖父の家にありました。
私は、夫にも戸籍の話をしたのですが、
「祖父の家は、実際は誰も住んでおらず、
 基本的に祖父は老人ホームで生活しているし、
 そのうち売却する予定なので、気にしない」
ということだったので、夫は分籍・転籍手続きはしませんでした。

その上で、夫の両親が切望するので、夫の祖父の家に結婚後の本籍を置くことにしました。

私が、夫とその家族に事情を説明しているにも関わらず、
「万全を期す」手続きをしなかったので、
それを選択した彼らの責任ということで、
何かあっても私は気にしないことにしました(笑)

ドライですね、と思われるかもしれませんが、
相手と自分の境界を引けないことが毒親問題における本質的な問題の一つなので、
これくらいクールな対応で良いと思っています。

ということで、私自身は結婚に関する行政手続きについては、
婚姻届の提出と、支援措置の変更手続きと、婚姻届の情報の開示の範囲を制限する、
という3つの手続きのみで済みました。

結婚すると、婚姻届の提出だけでなく、
人によっては転居や結婚式など、いろいろあるので、
バタバタすると思いますが、頑張ってください。
(なお、私の結婚式については、後日別の記事においてご紹介します)

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